脳と血
さかまき

アセチルコリンが足りなかった。

君に心はない、とお前は宣告される
君は脳にも血が足りない

焦ったお前は青ざめる。
蛇を殺して血を飲むべきだと考えた。
だけど飲む気がしなかった

昼下がりのターミナルで、献血をした。
あさはかで心ないお前は、善人のフリをした。
血を採られたお前は更に青ざめ、
おいおいと地に伏せる もう立ち上がる血がない。

その横つらを一匹の蛇がぬめった
二叉の舌でお前を視線で舐めた。

お前は気持ち良かったろう。

あいかわらずお前の脳とからだには、アセチルコリンと血が足りない。
地面に伏せて、足のない生き物の視線を受けて、
自ら進んで血を抜くのだ。


自由詩 脳と血 Copyright さかまき 2008-07-25 19:27:54
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