水の中は
北斗七星







ひとつの温度に
肌全部が包まれる


水の中は
ひとときだけ僕の存在を許し


水の中は
ひとときだけ解放を許し




ひとつの重力に
肌全部が包まれる


昨日の夜と今日の夜
水面の境は二つの夜を
水面の境は二つの世界に
仕切りを立てて
二つの風が吹いている


列車の窓から見える海は
日常の風を浴び
ゴトン ゴトンと揺れて映る


仕切りの先に広がる
かけ離れた空間に意識が
囁きかけて光って見える




見上げると今日の夜と明日の夜の水面が波に揺れている


ひとつの夜に
肌全部が包まれる




僕に
もたれかかる
君との間の水面に揺れて映る
波が揺れている


ゴトン ゴトンと


君の重力に肌全部が包まれる

君の体温に僕全部が包まれる


君と僕の夜に
昨日と今日と明日の夜の水面に
二つの風が吹いて包まれている



水の中から水面の外へ手を伸ばし仕切りの向こう側の風を感じる


水の中から伸ばした腕に風を感じる







自由詩 水の中は Copyright 北斗七星 2008-07-25 16:15:55
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