機械仕掛けのジェリーガール
こんぺき13ごう

 身を落とし損ねた夜、水鳥の羽音が耳の奥から離れず
 底見えぬセーヌ川のほとり
 水草を揺らさないように息を止めていた
 また、赤子が腹を蹴った

 季節外れなベンチに一つ影落とし、風の遠鳴り振り返りコートの襟先向ける
 イーゼル掲げた路上画伯達を眺めて戻れない家を思った
 I want to come across you again//黄色い薔薇咲く季節へ
 I am hollowly looking for you“Erected Tower"00:47:58

 同じ場所で同じ温もりを探し、青ざめた薔薇の垣根と隙間の夢
 やっと触れられた刺の頑なさに打ちひしがれ寒さに震え
 腕と腰の線が連なる菱形に切り取った真っ白なシーツの幻惑に身細めるとか
 幸せに暮らしているだろうかとか
 The electric wave is sent//わたしを忘れて死ね
 Please receive in the“Tokyo Tower”00:00:00

 思ったり願ったり、身勝手に乾いた脳を潤わし
 ポケットにあるわずかばかりの紙幣に痕跡を探し握り締める 強く
 記憶が凍え茎折り重なり犇めく中、カメラをむける フラッシュ
 全て一瞬にして消えるとか
 だからフィルムを入れる事はない
 /私/と/い/う/カ/メ/ラ/

 エッフェル塔と東京タワーのハイヒールは空の一部だったとか
 あの男は私の全てだったとか
 Love is from “Eiffel Tower”13:02:30

 あの男の全てだった私を網膜に焼き付けて


自由詩 機械仕掛けのジェリーガール Copyright こんぺき13ごう 2008-07-25 15:17:07
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