初恋
木屋 亞万

風が吹いて
(そう、風が吹いて)
服が膨らんで
(白いシャツ、背中から)
頬を行き過ぎて
(少し緊張していて)
涙を誘う、何度も
(遊びにでも誘うように)

私は彼女が好きだ
(思いだけ膨らんで)
私は彼女が好きだ
(誰を見ても思い出して)
私は彼女が好きだ
(似たような背中を目で追って)
私は、…風が吹いて
(彼女は後ろから行き過ぎて)
それを横目で見て
(もう彼女が、)
彼女が好きだった

風が吹いて
(むせ返る熱気)
風が吹いて
(本当は風なんてない)
風が吹いた
(のに、私だけ)
風が吹いた
(感じた、のは、私だけ)

一目惚れだった
(自転から取り残された)
一目惚れだった
(鼓動が止まった)
惚れ込んでいました
(全身が硬直して)
高嶺の花でした
(涙を誘うような)
風に揺れる
(高嶺の花、でした)


自由詩 初恋 Copyright 木屋 亞万 2008-07-24 23:38:52
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