夜
空井豆腐
手のひらが薄く重なる波紋から沈黙を知悉すると夜だった
前進には時間がかかり
余計なものはすべて困惑した埃にかわった
焼けた手紙の匂いをかいで
あたたかさが口角をしめらせた
とおくの発光は暗く閉じた圏を歪ませ
僕にはそれが悲鳴だった
音のないくるしみ
夜のみずうみの底辺で直立する
無限に掘削する透明な裂け目に
とおく繋がっていくように
進んだ
自由詩
夜
Copyright
空井豆腐
2008-07-23 20:51:15