彷徨、巡航(草書、推敲中)
長谷川智子


虫醋が喉を刺す
透け入る妙なる馨態せいたい
背後に黒き旋律
絞らるゝ雑巾の如くられ
渦巻く無数の惡夢白ちゅう
幾度までも呪殺せる輩の屍體したい
斑模様の如き形相
すべて沈められし褐色なる原風景
ひもときし數多あまたの遺書を幾度も讀み漁る
其処には
孤獨なる呟き 時として嗚咽
殺されはせぬかと息を呑みし日々
吐き出さねば吐き出さねば

倉卒そうそつに書き留めし欠片の群
其処に射す一縷いちるの光に
當時たうじは未だ 思ひ至らず

寧所ねいしょ見出せず彷徨し
諸人もろびとの言にて狼狽し
逍遥しょうようの果てに奇なる変なる扱ひ
嗚呼遣り切れぬ遣り切れぬ

赫泪流さぬ代りに?泪
の味は終生忘れ得ぬ

靁光らいこう 伴ひし鈍重なる靁雲らいうん
閃光は強き紫、緑、赤褐色
うらゝかにして前衛めいた瓦斯灯か
つひには白き闇と成り
供養はされぬ 安堵はさるゝ

刹那訪う蒼き凪
海燕かいえんが目に染む

細波ささめなみ 小波 さざなみ

時経る毎に薄らぎ
透け逝く?泪
されど未だ
寛解超えぬ












自由詩 彷徨、巡航(草書、推敲中) Copyright 長谷川智子 2008-07-23 04:02:46
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