彷徨、巡航(草書、推敲中)
長谷川智子
虫醋が喉を刺す
透け入る妙なる馨態
背後に黒き旋律
絞らるゝ雑巾の如く縒られ
渦巻く無数の惡夢白晝夢
幾度までも呪殺せる輩の屍體
斑模様の如き形相
凡て沈められし褐色なる原風景
繙きし數多の遺書を幾度も讀み漁る
其処には
孤獨なる呟き 時として嗚咽
殺されはせぬかと息を呑みし日々
吐き出さねば吐き出さねば
倉卒に書き留めし欠片の群
其処に射す一縷の光に
當時は未だ 思ひ至らず
寧所見出せず彷徨し
諸人の言にて狼狽し
逍遥の果てに奇なる変なる扱ひ
嗚呼遣り切れぬ遣り切れぬ
赫泪流さぬ代りに?泪
彼の味は終生忘れ得ぬ
靁光 伴ひし鈍重なる靁雲
閃光は強き紫、緑、赤褐色
うらゝかにして前衛めいた瓦斯灯か
終には白き闇と成り
供養はされぬ 安堵はさるゝ
刹那訪う蒼き凪
海燕が目に染む
細波 小波 漣
時経る毎に薄らぎ
透け逝く?泪
されど未だ
寛解超えぬ