たもつ

羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
 
 
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眠れないときは羊を数えなさい
そう教えてくれた母は
羊飼いに恋をして
家を出て行きました
あとにはわたしと
海賊をしていた父が残されました
 
 
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父は略奪も人身売買も忘れて
眠れないときは二人で
羊を数えました
それはどちらかが眠くなるまで続き
終わることはありませんでした
 
 
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ある日父は
暗くて寒い海に身投げしましたが
わたしは人気のないベランダで
取り込まれることのない洗濯物をみながら
羊を数えていました
数はとっくに羊からも
溢れていました
 
 


自由詩Copyright たもつ 2008-07-22 20:26:46縦
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