そうして溺れ、浮遊してゆく
笹子ゆら

酸素をなくしてしまいそうなのです
溺れるしか能のないワタシは
呼吸をわすれてしまいそうなのです

  例えば、
  水溶液に浸っているような気持ちのままで
  ワタシが意識を失ってしまったら
  どうなってしまうかもわからないのでしょう


はじめて、奮い立たせられるようなうそを
あなたに吐けた瞬間に
すべてを思い通りにできるのならば
どれだけ、
しあわせでしょうか


あなたもワタシもこどものままなので
いつまでたってもそれ以上にはすすめないのです

  そうして、
  おとなになるためのステップを踏んだとして
  ワタシが正しい人間になれるだなんて
  確かなはずなんてないのに

くすぶるその、視線だとか
信じられるのはそのようなものでしかありえないのに


縁日のビニールプールのなか、はげしく喘ぐ金魚のように
ワタシはわすれてしまったのです
酸素の味、つめたいと感じる瞬間に浴びる、ひかりのシャワー



そろそろ、浮遊する


自由詩 そうして溺れ、浮遊してゆく Copyright 笹子ゆら 2008-07-22 18:25:14
notebook Home