『シャー芯』
東雲 李葉

お気に入りだと言う匂いのついた消しゴムや、お洒落なロゴの入った定規。

表紙の絵柄の可愛いノートに、綺麗な色を引けるペン。

私と違って「たったひとつ」のあるもの達。

代用品など幾つでもある。私は多くの中の「一つ」に過ぎない。


パキッ


またひとつ、私の心が折れました。

「またかよ」と、舌打ちの音が聞こえます。

私は脆くてか弱いです。誰もが仰る通りです。

私は強くありません。いとも容易く壊れてしまいます。

けれど安心して下さい。代わりは幾らでもいますから。

例え私でなくても誰も困りはしないでしょうから。

私は一人じゃ生きられません。きっと誰もがそうなのでしょうが。

だけれど私は本当に、一人じゃ誰の役にも立てない。

私を包む人がいなくては存在価値さえ無いのです…。

大切にしてほしいだとか、丁寧に扱ってとか、

仲間は散々申しておりますが私はそんなの望みません。

だけれどただ、ただ一つだけ。

私が働いてきた証を何処かに残して欲しいのです…。


自由詩 『シャー芯』 Copyright 東雲 李葉 2008-07-21 17:15:32
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