『定規』
東雲 李葉

だいたいボクの有り難味が分からないヤツが多すぎるんだ。

世界の基本はボクなのさ。ボクがいなくちゃ世界は歪んだままなのに。

腹立たしいのはボクより脆いあいつの方が皆に必要とされてることで。

シャー芯なんて折れちまえばそれまでじゃないか。ボクはそんなに弱くない。

まるで世界の秩序のように、どこから見ても直角・完璧。

ゴムの塊とは訳が違う。ボクには世界が創れるのさ。

どうして誰も、ボクの必要性に気付かない?

ボクに関わる人は時々、煩わしそうにボクを見る。

完璧なボクが疎ましいのか邪険に扱うことさえある。

ボクはそんなに必要無いだろうか。

人のことばかり測り過ぎて自分が見えてなかっただろうか。

ボクも間違うことがあるんだなんて、言ってはいけないことだよね。

完璧気取ってきたのだから最後までそれを通さないとね。


ああ!ついにボクも間違えた。


居た堪れない恥ずかしさや情けなさが瞬間的にボクを包むと、

馬鹿にしてきた彼や彼女が嘲るようにボクを見る。

意地の悪そうな声にボクの口癖を繰り返されたら、

育て上げてきた一つの線が大きく捻じれてしまった気がした


自由詩 『定規』 Copyright 東雲 李葉 2008-07-21 17:14:46
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