さようなら子供たち(昭和の時代−戦後)
青い風

あの日 僕たちは
南向きの石垣に背をもたせ
くすんだ空を見つめていた

いや 僕たちは
子供からの決別をしていたのだ
カズヤちゃんと コンちゃんと 兄にゃんと僕とで

カズヤちゃんが言った
 もう中学生になるけん
 お前らとは遊ばれん
 今日で最後じゃ

それで 空を見つめながら
それぞれの思い出をしゃべった
たわいもない話から ドキッとする話・・・

僕にはそれがどんな意味だかわからなかった
ただ これからは遊んでくれないんだと思うと悲しかった
カズヤちゃんやコンちゃんが
大人の世界へ行ってしまうのだと思うと
僕も早く大人にならなくてはと思った

 大人の世界は気安く声を掛けてはいけないのだと思った
 人に負けないように勉強しなくてはいけないのだと思った
 ニコリともせず一生懸命仕事をしなくてはいけないのだと思った



高度経済成長の時代
今思うと 子供の世界に
大人の論理が入ってきた時代

あの頃から 子供の世界が無くなって
大人の真似をすることが求められた時代
大人の求める子供が
大人になるために準備する期間として
子供の時代が求められた

あの頃から ずっと失われたままだ


自由詩 さようなら子供たち(昭和の時代−戦後) Copyright 青い風 2008-07-20 18:27:03
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