◆てんぷら日和
千波 一也



さくさくと枯れ草を踏むかたわらに寝ぼけまなこの緑やわらか



晴天をながれる雲の端っこをそっと匂わせたんぽぽ揺れる




ぷらぷらと散歩日和のさかなたち
言葉は気泡、刃のない気泡



火傷するおそれの向こうにあるものを食するほかない水です、誰も





夏ゆえに迷子は上手にかくれんぼ
あわれみさながら祭りが過ぎる



ぬくもりはどこにあるかと問う夢をやさしくくるむ小さな寝床





持つべきは衣という名の恥じらいです
しみ出るべきがしみ出るように



待つべきは味わいの奥、もっと奥
月日のすべてをうたがうのなら





不可思議の純度が高いそのうちにやさしい作法でさあ召し上がれ






短歌 ◆てんぷら日和 Copyright 千波 一也 2008-07-20 11:42:52
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【定型のあそび】