ウォーム・ウェイブ
セルフレーム
聴こえる。
聴こえる。
解る。
これは、君の音。
―ウォーム・ウェイブ―
はじめて、綺麗だと思った。
夏の海は嫌いだった私が、
はじめてそう思えた。
君は微笑んで、
蒼の上で言った。
『 』
聞き取れなくて、顔を 歪ませた私に、
君が言った。
『 』
そんな君が、
死んだ。
あの日と同じ蒼。
あの日と同じ波。
あの日と同じ太陽。
あの日と同じ風。
その中に、一つだけ違うものがあった。
真昼の月。
―そうか。
君は、元の姿に戻っただけ。
君は、影の月だったんだね。
『綺麗だろう』
『此処は、真実みたいだ』
暖かい波に、
涙が溶けた。
―そうだね。
この海は、
此処に在る全ては、
本当に
本当に
君の姿に
似ているね―