白泥
こんぺき13ごう

 まっしいろいまっしろな泥に包まれて身の重を落とし眠りに緩んだ頬

 窓に見えるはかの鳥の毛づくろい
 壁には筍の透かし彫りを重ねた円筒の照明が左右に
 翳の羽を広げて日を遮る布から洩れる

 真っ逆さまに月日は流れ記憶となり

 急降下
 白泥
 窪んだ中皺

 捩り凝固せずただ重みに揺れ沈む

 飽くる迄繰り返し辿っても反り返るそして一時沈み溶ける
 その白泥へと

 飽くるまで沈み倒してしまおうかと寝息の直下で指を這わせその指を舐める
 人指し指と中指よりも生見の薄い弧を辿っている
 すると指から延びゆく影らしき黒さが何処までも何処までも
 指の動きに気をとられ眠気よりもまさる欲にかいま溺れ
 飽くるまで落ちて落ちて落ちて底でのたうち回るのだ
 その白泥へと

 しろぉぅい
 まっしろおい
 泥から飛びたったあとは
 翳る五感で吐息を汲み、
 夜の残骸を見付けては嘆いた
 なおさら離れがたく離れがたく

「飽々したんやけどな、あかんわ、もいっかい仰向けになってくれへんか」

 泥分ち泥となし囮籠滴るこの銀針で死する迄と望めど
 かの鳥の渡来を眺めては頬を一筋憂鬱が伝い
 なおさら白く白く染まる水平線

 馴れぬ通い道を歩んでおります帰り道
 如何お過ごしでしょうかと何を見ても思う

 しろぉぅい、
 まっしろおい、
 そしてひどく醜い、
 泥、ああ、

 あなたは泥だ


自由詩 白泥 Copyright こんぺき13ごう 2008-07-18 20:48:25
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