消音行列
北斗七星






思案の案山子
飾りすぎて
緑青(ろくしょう)に
ヤラれたか

この胸の蝶番は
軋み

笛が響かず



せつない唇の涙の塩に
ヤラれたか

耳の奥の細道は
提灯ひとつで
未(いま)だ獣の眼さえ光らず



鐘を鳴らして
心が通る

琵琶を鳴らして
心が通る

悲哀を鳴らして
心が通る



伝わる鈴の瞬き凍る

見回す景色は

消された像にヤラれたか



ほぅ ほぅっ と

法師が笠を斜(はす)に
雨の中

草鞋を濡らす



鐘を鳴らして
心が通る

琵琶を鳴らして
心が通る

悲哀を鳴らして
心が通る




消えた音は何処か
心が通る







自由詩 消音行列 Copyright 北斗七星 2008-07-18 14:07:37
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