サミット
れつら


陽を受けてさわさわと葉を寄せ合う花壇
花の名前はしらない

あたしたちってあんまり集まれないからとっても困るね
理由もなく群生する川辺とかが
一色に染まりがちな秋とか
春とか夏とか冬とか

記憶の中で
野道はさまざまに彩られていて
晴れた日ばかりだけど
ほんとうには今日と変わりないのかもしれない
太陽は霞んでいて
雨だって降るのかもしれない
ほんとうのことを知っているひとは
もう、どこにもいない

ねえ、あたしたちあんまり集まれないからほんとに困るね
笑いながら握手をして別れる
最後に名前を教えてもらった
日の丸がいつもより赤く燃えるような夏の日
そのうち燃えかすになっちゃうんだ、そして
冬になればわたしはわたしたちのことを考えて
あなたはあなたたちのことを考えて
そこにはわたしもあなたもいないけど
片目をつむって
最後に名前を教えてもらったのにもう忘れてしまった

むかし、ここはとっても綺麗だったのよ
いつでも花が咲いていて
色々に揺れていたのよ
頭の中でだれかがぶつぶつ言っていて
それが誰なのかがわからない
もうずっとわかってないのに
冬が来たらみずうみは凍ってしまう
それだけは知っていて
あなたはじょうずに植えた花壇に水をやっている
いつだか知らないけどぼんやり夢見ている
絵の具で塗りつぶしたみたいになることを



自由詩 サミット Copyright れつら 2008-07-18 01:43:38
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