ざわざわ
麻生ゆり
またやってきた
このえも言えぬ感情が
それは夜の海の波のように
目に見えることなく襲ってくるのだ
それは恐怖だったり不安だったり
具体性をもたない
それは誰からも理解されない超感覚
だから自身で
たった独りで
耐え忍ばなければならない
誰を恨むでもなく
いつからかこうなってしまった自分が
追いこまれるのを
我慢することしかできないのか
暗い
暗い暗い声に
悩まされ続けている自分
救いを求めて
黙って走る
自己逃避かもしれないけれど
それでも走る
影よ
どうか追ってくるな
私に触れるな
ざわざわ ざわざわ
眠りたいよ
ざわざわ ざわざわ
叫びたいよ
ざわざわ ざわざわ
泣きたいよ
ざわざわ ざわざわ…