お姫様
ユウタ

諦めたくなかったこの恋を
つま先で遠くへと蹴りとばす

ポーン!と勢い良く飛んだと思ったら
左足がガクンと引っ張られた

何事か!
とあたふたおどおどしていると

ビヨヨヨヨーンと
恋が途中でUターンして足元に戻ってきた

足にはひょうたんのくびれのように足首を締めつける
恋とを繋ぐゴムが付いていた

こいつのせいか。と眺めて取ろうとすると
ゴムがブルブルと怯えて震えだした

それがやけに痛気持ちよかったから
マゾなあたしは、少しの間だけ・・・
とそのまま立ち尽くしながら快感に身を震わせる
ちょっと痛すぎて涙が出た

よく考えればあたしはお姫様だ
鉄球付きの鎖に繋がれた悲劇のお姫様

こんなにあたしは可愛くて魅力的なのに
あなたに捕われて、重いし苦しいしとっても不幸だ
それなのにこの鎖を外せるのは皮肉な事にあなただけ
助けてあたしの王子様!

つってね

なんだ
よく見るとみんなひきずってるじゃないか
あの女もその男も、ほら、その人も!
街は王子様とお姫様ばかりで今にも溢れ出しそうだ

途端にナルシストな自分が大嫌いになって
怯えるゴムを引き裂いて恋をゴミ箱にダンクしてやった


自由詩 お姫様 Copyright ユウタ 2008-07-17 17:18:09
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