縁日に眠る
凛々椿

床いっぱい いっぱい散らかした ビーズ
転がしてはじいて 
赤いの なくしちゃった
甘い甘いハート形のチョコレートは真っ白なお皿の真ん中に安置済み
転がしてはじいて
青いのが そこに 
ころん
ころころころろろ
チョコレートと仲良しになった

蚊取り線香 煙ゆらゆら けむり むせてむせて
咳せつなく
ベランダには金色野良猫 夏日にくらり ぺったり
逃げもしないで
かわいい
見渡す眼下 編み目に区切られる 廃工場
跡地
来年には15階建てのマンションが建つと
八百屋のおばさんが言ってた
本当?
そしたら 遠く遠く丘まで見えるこの景色が
なくなってしまう
そんなの悲しい
にゃあん 
なんだ 起きてたの

そういえば 
朝焼いたタコさんウインナー まだ食べてないや
おなかもすいてきたし 食べよう
目玉焼きも焼いて
卵3つ
なんだか冷蔵庫がさみしくなった
あとで何か買いにいこう
なぜか好んで よく食べてたズッキーニ 買って
コーラも たくさん買って
そうしたらきっとさみしくならない
玉子焼き 3つ
そういえば 卵と玉子って どう違うのかなあ
ひとつは私の分
ふたつはチョコレートの横に安置 
完了
タコさんおいしいな
目玉つけるの忘れたけど
ひとつあげる

赤色サンダル
ぱたぱた
踏切の形ってどこかイビツだ
かん かん かん かん
怒りっぽいこの音 私も好きだった
二百段神社にもよく行ったね
ぜえぜえ
だけど上りきると 汗が髪にしみついて
風が さらりさらり 扇いで
まぶしい
8月のはじめの土曜日 
縁日だったあの日に弾けた君へ
君がおもしろ半分で買った あの水ヨーヨー風船セット
どこへ行ったかな
あとでさがしてみるね 
露店でも出そうかな
ねえねえ 子供たちが
駆け足で行くよ
女の子 ピンクの一輪車を持ってて
乗ろうとして
よろよろしてて 転びそうになったりしてて
スカートがめくれたりして
かわいい







自由詩 縁日に眠る Copyright 凛々椿 2008-07-17 13:57:35
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