ペンキをぬるまいにち
つばくらめ
ぼくはいま
たいいくかんのぜんぽうの
ぶたいがぜんぶかくれるほどの
しろいきゃんばすのまえにいる
きみはみぎてにきいろいペンキ
ぼくはひだりにぼくのペンキ
きみのペンキがこをえがく
ぼくがあとからおいかける
せんのとちゅうがかさなった
ぼくがちょっとおいこすと
いやないろがだらりとたれた
しろいぶぶんがこわいから
ぼくはペンキをぬりたくる
しずかなしろにすいこまれそう
どこをぬったかもわからない
なにいろなのかもわからない
しろいぶぶんがこわいから
ぼくはペンキをぬりたくる
きみはいっぽとはんぽさがって
ぼくのことをまがおでみてる
みぎてにペンキをさげたまま
ぼくのことをまがおでみてる
うでもめだまもくちびるも
だんだんちからがぬけていく
だめ
やめて
まだペンキをおかないで
がまんするから
がまんするから
ゲームもがまんするから
パソコンもがまんするから
まだおかないで
メールもすぐかえすから
まだおかないで
つぎはうまくわらうから
まだおかないで
つぎはうまくへんじするから
まだおかないで
まだおかないで
まだおかないで
まだみすてないで
まだおかないで
まだみすてないで
まだおかないで
まだおかないで
まだすてないで
まだおかないで
まだおかないで
まだおかないで
まだおかないで
まだ
きたないまえのきゃんばすは
みえないどこかにかくしてしまった
きみもとっくにかえっていった
ぼくはへやでうずくまる
つぎはきっとうまくぬれる、
ああ、きっと、
きっとうまくぬれるさ
うまくぬらなきゃ
うまくぬらなきゃ
もっとうまくペンキをぬらなきゃ