ゆれる
たもつ

 
魚のために
椅子をつくる
いつか
座れる日のために
 
背もたれのあたりを通過する
ふと、足りないものと
足りすぎているものとが
少しずつある

雨に濡れた生家が
生乾きのまま
風のようなものにゆれる
匂いがしている
 
恥ずかしいけれど
幸せも不幸せも
本当は鋳型なんて
最初からなかった
 
 


自由詩 ゆれる Copyright たもつ 2008-07-15 18:48:13
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