ロウの帯
砂木

快速にのって先頭の時間が
紙の奥に消えていく

反対側に満ちる水滴は
音をたてずに指をぬらし

ひとおもいに 破けない陽射しに
汽笛の発車する叫びだけ
むしりとられる花びらに
とどめを ささやいて眠らせ

かけた灯りの側
エレベーターで地下が登る
月が還って来た住人を
ろうそくのように消していく

気がつくと 月の中
眼が見えるから
草の側で果てた蝶は 
眼を閉じ続ける


自由詩 ロウの帯 Copyright 砂木 2008-07-14 06:58:54
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