マダムヤーン
プル式

マダムヤーンは綺麗な人で
いつも小さな
花柄のブラウスを着ていた
ほんのり香る花の香水をして
静かに笑う人だった

ある日マダムヤーンのもとに
小さな蝶々がやってきた
蝶々は羽根を休めてもいいですか
と尋ねた
マダムヤーンは
あらあら大変ねと言うと
ゆっくり休ませてあげた

それからは毎日違う
花の好きな虫たちがやってきた
蝶々はブローチみたいで
とても綺麗だったけれど
蜜蜂が休んでいると
ご近所の人たちは、ひゃっと驚いていた
マダムヤーンはそんな時
少しいたずらな目をしながら
小さく笑って、あらあらと言った

マダムヤーンには家族が居なかった
だからマダムヤーンが死んだとき
街の人は誰も気付かなかった
いつもの通りのカフェや花屋だけが
少し、心配をしていた

マダムヤーンが自分が死んだと気が付いた時
回りには虫達が集まっていた
あらあら、といつもの様に笑うと
虫達が集まって扉を作った
そうしてマダムヤーンは天国へいった

それからしばらくして
マダムヤーンが死んでいるのが
見つかった
部屋には沢山の花が敷き詰められていた。


自由詩 マダムヤーン Copyright プル式 2008-07-11 11:16:29
notebook Home 戻る