静かに霧をふらせるshowerの下で
りゅうのあくび

瑠璃色をした
タイルの上に立って
恋しい人と
着ている
服を脱がせあう
約束をしてから
showerの蛇口を
ぎゅっとひねる
まるでレモンの果汁を
搾り出すようにして


しっとりとした
霧のような湿度が
たれこめては
暮れゆく
日曜日の
たそがれに
恋する視線は
ほとりと舞い落ちる


一片のやや
水分を含んだ
黄色い羽毛が
静かに堕ちていく先を
見つめている
かのように
まぶしく彩られた重力に
引きとめられ
つなぎとめられていて


まだインナーシャツを
着たままでいる裸身の
流線形にそって
なぞってゆく
showerの暖かい流れには
たくさんの雫が
したたっていて


脱ぎそびれた
半身の白衣は
もう充分に
ぐっしょりして
豊かなおっぱいと
ぬれた薄手のそれは
ぴったり
くっついている
肌色にすける
純白のブラウス


恋する人の
両腕はウエストの
すそをまくり
しなやかに
ぬれている
布地のうらがわに
潜りこんでは
ブラジャーを留める
ホックだけを
そっとはずす指先


乳房の
てっぺんの辺りは
くっきりと
薄橙色に
染まって
半透明になっては
吸い寄せられる
右のてのひら
ほほえむ
ことさえ
いとまもない
くちびる


お互いの
くちびるからは
別の身体へと
暗やみを探しながら
のどもとから
すっくと伸びる舌が
また突き出されてゆく


小さな紅い竜が
細い首をしならせては
まるで独自の
言葉をしゃべりながら
睦まじく二匹で
たわむれあって
いるみたいにして


夕刻のうねる
嵐をくぐり抜け
いそがしく
もつれあい
ずっとKissを
しながら


自由詩 静かに霧をふらせるshowerの下で Copyright りゅうのあくび 2008-07-10 19:32:13
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