ハマダイコン
AB(なかほど)

船が出るのを
見ていた
風が吹いていた
揺れていたのは
波なのか風なのか
花なのか僕なのか

船が帰って来るのを
見ていた
もう帰って来ないものも
見ていた

揺れていたのは
集魚灯の光
と帰れない風


その揺れる花の種を
耕した畑に撒くと
太くてきれいな大根ができる
君もやがて
標準語で恋を語るようになる
それもいいかもしれない

けれど
ただ
揺れてるだけでもいいと
微笑む花もいい

明日
晴れるかもしれない
雨かもしれない
風に揺れるだけで
いい


    







自由詩 ハマダイコン Copyright AB(なかほど) 2008-07-08 23:32:19
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