石を置く
長谷川智子



私は
どこへ向かって
石を置いているのだろう

ずっと遠くへ行くため?
それとも
今居るところから跡を濁さず飛び立つため?

川に石を並べて渡ろうとしているように思えるときがある

彼方から聞こえる「どうせ無駄だよ」の声。

無駄?
……笑いたければ笑えばいい
私を笑い飛ばして振り返ったあなたの後ろには
誰も居なかったりして。


石をただ置く
置けるだけ置いたその先に何が見えるだろうか

私はむしろそのことが気になる





自由詩 石を置く Copyright 長谷川智子 2008-07-08 02:19:54
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