落ちた実は消えてしまった。
プル式

赤い鉄塔には子供が登る
ただ一番上だけを目指して登る
そこに何があるかとか
そこから何が見えるかとか
何も考えず
ただ、登る

銀の鉄塔には大人が登る
なるだけ上を目指して登る
そこに何も無いと知りつつ
それでも、自分の見えない人生を見ようと
過去ばかりを振り返り
ただ登る

赤い鉄塔から銀色の鉄塔へ
一人の男がロープをかける
それがどう言う事なのかなど構いもせず
優雅な身のこなしでロープをかける
そうして男はロープを渡る
静かに、踊りながら。


自由詩 落ちた実は消えてしまった。 Copyright プル式 2008-07-07 10:49:57
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