黄土色。
長谷川智子
或る秋晴の杜にて
私は
訳無く零れ落つる滴を止め能はず
時同じうして「何故死は在るのか」
天を仰ぎ雲一つ無きを知る
其は其で好い。
死せる感覚に 五感を研ぎ澄ませ
森の音を 聴く
次の刻頃、眼前に・・
空高く
整理されし木の葉の輪舞
我が眼を 疑うた。
杜は問ふ
「此は、生の一つの在り方なり。おぬしは、如何に考えるか」
我、滴の跡を拭ひつヽ答へる
「其は、我の態には非ず」と。
自由詩
黄土色。
Copyright
長谷川智子
2008-07-05 15:57:52