アイフォーン
小川 葉

アイフォーンが
日本に上陸するのと
同じ時代に
日本にひどい
通り魔事件が上陸したことは
偶然かもしれないけれど

もし僕が
アイフォーンで詩を書いて
インターネットに載せたとしても
その詩を読んでくれた君と
アイフォーンで
話すことができたとしても
生身の君のことは
きっと死ぬまで知らないのだ

アイフォーンで撮りためた
写真とは呼べない
いわゆる
画像という記号を
スライドショーで見る
未来の夜を
もう思い出してる

そんな気持ちで
詩を書く
生身の君を
あのつるつるした透明の
タッチスクリーンをつまむ
未来の夢を
もう知ってる


自由詩 アイフォーン Copyright 小川 葉 2008-07-05 02:15:14
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