モンスター
モリマサ公

12階のベランダから地上を見る
得体の知れないものが
あたしたちの体の中にある
欲望
空気の中にみえない
何かが飛び交っている

悪意
諦め
執着
春を
夏を
秋を
冬を
売って
たいくつでたいくつな同じ毎日がつづく
あたしたちは徐々に徐々に用意が整う
俺たちははじめから狂ってる
ってわけじゃなくて
きみたちはだんだんに落ちていく
その輪郭の無い瞬間を切りとる
通り魔
テロリスト
リストカット
過食嘔吐
オーバードーズ
予測のつかないなにかは予測できない
だから僕たちは街をパトロールして
マッピングする
死なないために
殺されないために
殺さないために
死ぬために
得体の知れないものが
あたしたちの体の中にある
得体の知れないものが
あたしたちの体の外にある
たいくつで同じ毎日のために
徐々に徐々に用意を整え
段々狂いはじめる方角を
街をパトロールして
マップする
死なないために
殺さないために
殺されないために
死ぬために
みんなの影がつながって
流れ出す暗い川の面を
あかりがひとつづつゆれている
マフィアのパパ
移民のママ
ハンディキャップのぼく
性転換者のあにき
アーミッシュのいとこ
リザベーションのグランマ
ホームレスのおとうと
シャブ中のあねき
公園で垂直になっているシャツが
生乾きのままばたばた旗のように揺れだす
街路樹を覆う空は無気力で
肉のような暗い雲に
あたしたちはうでをのばす
かきまわすくうきはゼリーです
毛穴達が全部開くのをだまってみてる
ビル達がゆれながら並んで
高速道路を液体的時間が流れ
流れとしてぼくらは町をマップする
都会の膿のような雨はまだで
真っ黒い川を橋からのぞきこみ
ネオンとマンションの灯りがぶれる
帰る場所
これは祈り
コウモリがジグザグにすれちがい
各駅停車をまつ身じろぎもしない人の群れ
マフィアのパパ
移民のママ
ハンディキャップのぼく
性転換者のあにき
アーミッシュのいとこ
リザベーションのグランマ
ホームレスのおとうと
シャブ中のあねき
白いシャツ
ださいパンツで
心臓のつぶれた音を聞く
みみなりが
もうすぐはじまる







自由詩 モンスター Copyright モリマサ公 2008-07-03 17:23:52
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