「海に行きたいと思うとき」
ベンジャミン

空と海とが
おなじ青だと思えるほどの
白い砂浜だった

波打ち際には
貝殻がおどっていて
それにあわせてはしゃいでいる
君がいた

スカートのすそを気にしながら
それでもときおり打ち寄せる
予想以上の波に濡れている
君がいた

もっと早く連れてきてあげれば良かったと
そう思えるほど楽しい
一日だった

「帰ろうか」って僕が言うと
口をとがらせて嫌がる
君がいた

「もっと早く来れば良かったね」って
仕方なさそうに拾った貝殻を
海にかえしている
君がいた

スカートのすそはすっかり青色になって
まるで空と海の色みたいだと
そう思えるほど美しい
一日だった

「また連れてきてね」ってあまえた声で
潮風に吹かれている
君がいた

「わかったよ」って僕が言うと
まだ乾いていないスカートを
ひらひらさせている
君がいた

空と海と君が
おなじ青だと思えるほどの
眩しい思い出

きっと思い出すたびに
海の匂いを感じるだろうと思う

僕がいた
      


自由詩 「海に行きたいと思うとき」 Copyright ベンジャミン 2008-07-03 15:33:05
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