家族
umineko

その
灰色の鏡面に
私たちは並ぶ
等間隔で

母の名前
兄の名前
私の名前

まるで
同じ大きさで
私たちは西を向く

九十度
異なる角度に
あなたの
名前がある

立派な御影石
あなたは
等分に
私たちを従えて

これが
家族と言うものだ、

誇らしそうに南を向いた


あなたが
茫漠とした記憶の果てで
決して
言えなかったその声が


あなたの眠る意味が
高らかに結実する

家族
私たちは刻まれる
最小限の単位として

失われたのちに
形になる
あるいは

失われたから
形になる


ひとり
またひとりと
私たちは欠けていく

そのたびに
舞い降りるその事実を
小さな石に
確認する

失われたから
形になる

私たちの生きる意味よ

 
 


自由詩 家族 Copyright umineko 2008-07-01 23:17:00
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