蛍
1486 106
花火が消えた後の静けさは
言いたい言葉を隠してしまうから
何も言わずに手を繋いだんだ
右手に残る確かなぬくもり
君が指差す星座の名前を
答えることができなかったから
図鑑を買って勉強したんだ
赤い色の星アンタレス
夏の終わりを駆け抜ける流れ星
届かぬ願いは星空の彼方へ
離れないよう強く抱きしめても
束の間の永遠はすり抜けていく
蛍は戻れない川を越えて
夜空を照らす光になったんだ
見上げるたびに思い出せるから
孤独な日々に泣いたりしない
自由詩
蛍
Copyright
1486 106
2008-07-01 20:52:50