るりら、るりたち
小池房枝

人間は青い空がいつでもそこにあるような気でいるけれどもそれは違う
    空はいつも降ってきている
         降り続けているのになくなってしまわないのは
     絶えず生まれ続けているからだ

          小川に手を差し入れるとたちまち現れる渦のように
                          降り注ぐ太陽風と
                  長く尾をたなびかせる地球の磁場と
                      循環し続ける大気と
                どの惑星にも平等に与えられたスペクトルと
どんな賢者の石のひとかけらが
     空の誕生という錬金術のひきがねをひいたものか

 それは中生代に地球大気の組成をかえるほど大繁茂した植物類ではなく
            むしろカンブリア紀に登場した生き物たちの「目」という
       存在だったのではないだろうか

人間は青い空がいつでもそこにあるような気でいるけれどもそれは違う
                空は今日も降り続けている
     エアロゾルも氷晶や水滴によるいかなる光学現象も抜きの
                    レイリーブルー、ただ空だけの色をして


自由詩 るりら、るりたち Copyright 小池房枝 2008-07-01 20:37:09
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