七月のファンタジスタ(長いほう)
chocoa

七月になったので
僕は久しぶりに家に戻った
まだ何も決められないでいる
自分のことも 君のことも

僕らはうまくやってけないだろう
答えはもう出てた
ただ やっていけないだろうけれど
努力次第で という可能性を
いつまでも否定できない

君は一人で家を借りて
一人で生活を始めた
僕はあちこちを転々としていた
久しぶりに帰った家は
がらんとして
カレンダーがまだ一月のまま

ボストンバッグから長袖を出し
代わりにTシャツを詰め込んだ
この家は 家ではなくて
ただの物置

年月は見えない速さで過ぎていく
当然 老いて壊れていく
三月に骨折した指は
未だに痛んでる
君も次第に 壊れていくだろう
いつまでもこうしていることはできない

大切な決断が下されるのは
いつも思慮深く検討を重ねた後ではないのかもしれない

ベランダの風鈴が静かに揺れた

僕は畳に寝そべって
少し曲がった指を見て
すこし笑った

この指も
曲げたくて曲がったわけでは ない


自由詩 七月のファンタジスタ(長いほう) Copyright chocoa 2008-07-01 02:05:47
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