青い庭
AKiHiCo

獄中にて――

僕はずっと夢見ていただけ
  だったようだ
 自意識 視線 声 雑音
    潜在する 意識 思考
全てが僕を見方していたんだ
      そんな味が
舌の上を転がったんだ

この狭い部屋の中で
僕は僕を縛るしかない
内側で踊る閃光を抑えるんだ
誰も真の正義を知らない
    だから
 僕を閉じ込めるんだ
誰も判るはずがない
この思いは誰にも判らせやしない

神になるまで――
人間は裏切るように出来ている
他人を信じてはいけない
あの眼を疑えばいい
僕を利用しようとする
あの眼
神になると決めた瞬間だったね
信じていたのに
  唯一の愛だったのに
 このナイフが背徳
誰が言えるのだろうか

 合わせた掌 交わる指 
だけど
心はもう重ならない
そう知った
人間は誰かに依存して
依存を愛だと履き違える
だからこそ裏切りが
その後ろに付いて回るんだ

勢いよく彼女を抱き締めた
その右手には赤く染まったナイフ
あの眼は人間の眼だ
僕の傍に寄るな
今更気付いたんだよ
僕は

箱庭の監視者――
僕は裏切られる程愚かな者じゃない
あの眼をした者は不潔
 錆付いたスコップを握り
  見知らぬ庭で
あの眼を埋めてしまうんだ
この世界に在っては
穢れてしまう
どうして世界に蔓延る害を
駆除する者がいないのか

プロローグ――
深夜、笑いながら庭に佇む男
近隣住民が不審に思い通報
後、男は獄中にて神と名乗り
妄想的な言動を繰り返した
神 あの眼 楽園 人間
上記の単語を多用し
机に頭を叩き付けながら
発狂した


 


自由詩 青い庭 Copyright AKiHiCo 2008-06-30 02:05:40
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