喫茶店
プル式

その喫茶店には
時計の音がいつも聞こえていた
チクタクという音とは逆に
時代から取り残された様な
ぼやけたオレンジの明かりの店だった

その喫茶店のテーブルには
温泉の記事の切り抜きが
ガラスに挟んであった

いつもいる常連の話は
いつも競馬の話で
マスターはいつも
笑ったり 相槌をうったりしていた

僕はそこでいつも
ぼんやりと外を眺めながら
人を待っていた
待っていたのは誰という訳ではなく
ただ 待っていた

そこは時代から取り残された様な
オレンジ色の喫茶店で
常連はいつも競馬の話をしていた
テーブルには温泉の記事があった

僕は誰かを待っていた
外では少し
雨が降っていた。


自由詩 喫茶店 Copyright プル式 2008-06-28 21:18:51
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