不思議の国のアリウム
木屋 亞万
小さな花がたくさん咲いて
母さん、思わず泣いてしまうほど
健気で、非力なのに全力で
息を合わせて丸くなる
丸くなっているのが、また、さ
垂直な茎が正しい主張をしている
程よい距離で集まって咲いている
異国から訪問しにきたような花だ
ぽきりと途中で折れてしまいそうで
はかない妖精の森の木のように
行きすぎた春の姿のままに
ほわわんホワワンしているから
強い雨が降るたびに心配させられる
花の林を覗き込んだら
葱くさいけどギガンチューム
こんにちはみなさん、アフロです
ひょろりと細い身体にアフロです
しかも黒じゃない紫のアフロです
葱に花が咲けばきっとアフロです
ネギ坊主ではなくて葱アフロでアリウム
るるるらららと排気口は回り
人工の空気の流れ、漂う細い手
はかなさなどないアリウムの
むさ苦しい青年の声を聞けば
母さんはきっと、次の清純を探すのだ
不思議の国を探す、乙女、のように