不思議の国のアリウム
木屋 亞万

小さな花がたくさん咲いて
母さん、思わず泣いてしまうほど
健気で、非力なのに全力で
息を合わせて丸くなる
丸くなっているのが、また、さ

垂直な茎が正しい主張をしている
程よい距離で集まって咲いている
異国から訪問しにきたような花だ
ぽきりと途中で折れてしまいそうで
はかない妖精の森の木のように
行きすぎた春の姿のままに
ほわわんホワワンしているから
強い雨が降るたびに心配させられる
花の林を覗き込んだら
葱くさいけどギガンチューム

こんにちはみなさん、アフロです
ひょろりと細い身体にアフロです
しかも黒じゃない紫のアフロです
葱に花が咲けばきっとアフロです
ネギ坊主ではなくて葱アフロでアリウム

るるるらららと排気口は回り
人工の空気の流れ、漂う細い手
はかなさなどないアリウムの
むさ苦しい青年の声を聞けば
母さんはきっと、次の清純を探すのだ
不思議の国を探す、乙女、のように


自由詩 不思議の国のアリウム Copyright 木屋 亞万 2008-06-28 00:36:15
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