かなこ
モリマサ公

夜の空が皮膚のようにめくれていくのをみている
地平線に
ゆれている骨たちのあかり
ふさふさの影
それぞれのドアの鍵が存在する
接触したいだけの数の
不安と安心が
便器の中の
花びらみたく漂う
猫背のドラッグディーラー
が家族を思い靴底を減らし
泥のついたまぶたの
そのうらがわに
不透明な水でぱんぱんな風船がふくらむ
世界にしろつめくさの冠が
長く伸び
かなこ「はーう」
コヨーテ「はうはーう」
知らない女達の汗にふれて
空耳の着信音
弱者の足首のねじれ
そういうのを大事にしたいって
なんどもいったよね
叫びたいのに
をかみ殺しアクセルを踏み込む
接触する寸前のガードレール
加速する水たまり
車窓から吹き込んでくるヒューイ
ヒューイ


自由詩 かなこ Copyright モリマサ公 2008-06-27 03:18:14
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