「ハムスターと僕と」
ベンジャミン
噛み合うことのない歯車のように
孤独は在り続ける
カラカラと輪っかの中を駆けている
小さな身体を懸命に動かしても
輪っかは空回りするだけで
前に進むこともなく
ただ同じところを回り続ける
立ち止まることが
楽ではないことを知っているのだ
だから動き続けなければと
取り残されそうな不安に怯えて
それは逃げているのではなく
追い駆けているのだと
思いたくて
だから毎日
こうして輪っかを回している
カラカラと音をたてて
ここに居ると主張している
ふと
回っている輪っかを止めてみた
突然の出来事に
彼は勢いあまって宙返りしてしまう
きょとんとした視線を
見慣れない大きな瞳に向けて
そうやって
僕らは友達になった