メリメ
ミゼット

裂いたスカートの行方は
右の親指だけが知っている

布を食卓に磔刑して

右手に
左手に絡めて引き裂く

これが誰かの髪であったら
どんなにかいいだろう
ちりぢりになった悲鳴の
波が部屋に広がって
そう、種を貪り食らう鳥の
見開かれた目を

虚しく揺れる食卓に
傷んだ林檎をひとつ乗せて
嘘の行方を閉じて隠す

メリメ
実らない季節に


自由詩 メリメ Copyright ミゼット 2008-06-26 17:31:58
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