籠鳥の夏
梨玖

黒い鉄格子に身体を押し付け
晴れ過ぎた空を焦がれる、其の目に 痛みさえ覚える 
あぁ きっとそうだ

錆び付いた目を揺らし
此処から出れないと知り始めた
後は鳴くだけだと言って
目を閉じ声を枯らした 籠鳥の夏


鉄格子をかたり、と揺らして
黒いとも白いとも解らないほど、疲れきったそれを
もう一度、触れることが出来たら、どれだけ

ぱさり、と音を立てて崩れる瞬間を
どうして 見てはいられなかったの

呼吸を忘れて それでも生きると言うの
そうして飛ぶ術を どうして君は知らないの

錆び付いた目を揺らし
此処から出れないと知り始めた
後は眠るだけだと言って
最後に音を立てて崩れ落ちた  籠鳥の夏


自由詩 籠鳥の夏 Copyright 梨玖 2008-06-24 21:07:48
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