ねがい
石川和広
毎日をさかのぼる
一瞬があらわれない
そう出て来ない
さかのぼるから
には、そこにみなもとがある
けれど
ららら
ちょっと歌っていたら
買い物を忘れた
買い物も買われるものも
変われないものも
どうしたのかな
毎日をさかのぼる
そういえば、このあたりで
あなたに怒ったから道を間違えたのだろうか
時々考えるのだが
考えてしまうだけだった
駅にたっていた
警察車両が何台もグラウンドみたいなところを
掛け声とともにまわっている
そうひとつ駅を乗り過ごして
戻らないといけず
もどるってのは面倒なことで
反対側のホームで
そんな警察車両をみたのだった
いつもそんなものみなかった
そこの駅はあんまり降りないけど
ちょっとちがってた
横の女の子はぱっと見て
かわいいと思った
それも初めてだった
それもそうだ
はじめて見た女の子だから
でも、みたことあるのかもしれない
けれど
見たことがないことに
なってる
でも、もう一度見たら
さっき見たようなぐっとくる感じがなかった
法隆寺展のパンフを見ながら坐っていると
最近疲れるよなあと思った
けど、疲れるというのもあんまり思い出したくなくて
体重が減って
ヘソがみやすくなったことを思い出した
これを誰に伝えよう
それを伝えたら
ものすごく楽な気がする
ビールを少し飲んでさあ
すけべえなしょうもない男の本性で
それでしんみりしていると
むしょうに綺麗な夜が来て
いくつかの灯りが
俺の芯を溶かして
全く作り変えられる
そんな夜がいいんだ
そういうのが