日本の雨季
アハウ

湿り気のある空気が押しつけて

暗い灰色の空から落ちてくる
細い糸のような雨
歩道にあたり
無残に砕けて

この大地を黒く潤す
雨の残骸が田畑で生きて

静かな雨脚に日本の雨季はしなやかに弧を描いて過ぎて

忘れていたこの生の断片が浮上して
雨垂れの音に思い出は脈絡もなく弾けて
大地に染みて鎮まった

憧れる心の行く先は
遠い青く煙る
あの山々の彼方

見たことのない街を漂泊して
必ず出会う遠景の山々の懐に憩う
「誰かを捜して」

しとやかな雨が降りる 街で・・・

漂泊の魂が部屋で遠くを見つめ
日本の雨季を感じながら

ありありと見知らぬ街を歩いている


自由詩 日本の雨季 Copyright アハウ 2008-06-22 17:25:14
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