鐘を鳴らす者
かいぶつ

僕は宇宙を持っている
体の中に宇宙を秘めている
其処には地球があり
空があり 大地が広がっている

季節が巡り
花が咲いては散る
風が吹いては止み
波が荒れては穏やかになる

川が流れ 森が育ち
魚が泳ぎ 鳥が飛ぶ
動物達が生活し
人が言葉を話している

子供達が遊んでいる
日が暮れ 街が染まる
誰もいない公園
ブランコが風に揺れている

僕には夜が来る
万物は灯をともし
闇を刳り抜く
やがて朝が来ては
僕の宇宙は顔を洗う

小鳥がさえずる
静謐な朝
行進する兵隊が
銃撃を始めようとしている

僕の宇宙で
戦争が起ころうとしている
小さな街が
崩壊されようとしている

宇宙の清流が停滞せぬよう
宇宙が腐蝕せぬよう
僕らは宇宙を交差させ
生命を循環させる

僕の宇宙の
平和の鐘を鳴らす者
それは君の宇宙にしか
存在しないんだ


自由詩 鐘を鳴らす者 Copyright かいぶつ 2008-06-22 09:37:30
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