遺書
麻生ゆり

嗚呼私が死んだのちは
海に散骨してください
そして私は
儚いクラゲになるのです
水に溶けそうなほど透明な私は
誰に気づかれることなく
誰かを傷つけることなく
大海原で生きるのです

嗚呼私が死んだのちは
山に散骨してください
そして私は
小さなキノコになるのです
木々の間にひっそりとたたずむ私は
誰に気づかれることなく
誰かを傷つけることなく
密かに胞子を飛ばして生きるのです

嗚呼私が死んだのちは
宇宙に散骨してください
そして私は
微かに輝く星になるのです
闇に消えてしまいそうなほど仄かな私は
誰に気づかれることなく
誰かを傷つけることなく
皆を照らして生きるのです


自由詩 遺書 Copyright 麻生ゆり 2008-06-21 00:46:50
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