ひどく友好的なガロ系の女の娘
うおくきん

あの日、僕はいつものよーにときわ書房に行ったんだ
最速でレジに持っていったのはもちろん『アックス』の最新号
そしたら、店員の女の娘が「わあ、『アックス』だあ!!」なんてひどく友好的な笑顔とひどく友好的な言葉を僕にくれたんだ
ひどい、ひどすぎる、たぶん同好の士を見つけた孤独な喜びだったんだろうけれど、僕はほんとに苦しい悲痛な気分になったんだ
もちろん、屍体の僕はなんの反応もしないで、その日のお昼ごはん代だったはずの1000円札を黙って置いて冷たすぎる会計をすませたんだ
あーあ、丸尾末広が好きそうな女の娘
あーあ、花くまゆうさくは嫌いそうな女の娘
あーあ、あらいあきに共感していそうな女の娘
あーあ、漫☆画太郎なんて知らなさそうな女の娘
あーあ、西岡兄妹にいたっては読み飛ばしていそうな女の娘
あーあ、福満しげゆきを気持ち悪いけれどかわいいって思っていそうな女の娘
今さらだけど、ありがとね
今なら、今の僕なら、嘘っぱちの崩れかかった笑顔だけなら返せそうな気がする


自由詩 ひどく友好的なガロ系の女の娘 Copyright うおくきん 2008-06-21 00:42:33
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