「あなたの水面が揺れている」
ベンジャミン

あなたの揺れる水面が
まるで涙のように見えたので
やさしくなだめたくなりました

あなたは水際にたたずむ
一羽の渡り鳥のようでしたから
どこかへ行ってしまいそうで不安でした

あなたが水をきるように羽ばたくとき
そのとき揺れる水面が
僕の姿を揺らしてしまうから

あなたをしっかり見つめていられるように
その水際であなたを待つことにしました

あなたの揺れる水面が
まるで心で感じる何かのようで
僕の真実が水面に映ってしまいそうでした

それはとてもこわいとも思いましたが
それでいいのだと思い直しました

どんなに季節が流れても
つまさきで水をきるように
羽ばたくあなたの白い水しぶきが

ただ美しいと感じられるまで
僕は揺れる水面に映る自分を
しっかりと見つめようと思います

やがて穏やかに
ただ一枚の鏡みたいになるように

本当は自分の涙で揺れている景色が

やがて穏やかに
ただ一枚の鏡みたいに静まるまで
  


自由詩 「あなたの水面が揺れている」 Copyright ベンジャミン 2008-06-20 00:07:37
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