故郷。
遊佐



ゆらゆらと、
たゆたう海の真ん中に澱む
水の温きに抱かれて
小さな魚達は
大きな大きな夢を育む
故郷遠く旅をして
辿り着いた大洋の真ん中で
ぷかりぷかりと浮き沈み
ゆらゆらゆらと漂いながら
日がな温い水の中
果てしない海原に
果てしない夢描く


海流に流されて
途方に暮れて

鮫や鯨に追われて
冷や汗かいて

向かい風に押し戻されて
ため息一つ


黒潮の欠片が喉につかえるのは
水が合わない証拠だね、
ひとしきり泣いた後には、
すっきりとした顔をして

明日こそ
帰ろうね
故郷の海へ

長い旅は
決して無駄じゃなく
一回り大きくなった心と身体が
教えてくれるだろう


海の優しさ
海の厳しさ
海の…尊さ

ゆらゆらぷかり
波を被って学ぶこと
潮を渡って学ぶこと
風を切って学ぶこと…
沢山あって

大洋の真ん中には
温き水の澱みが
沢山の小魚を育んでいる


いつか帰る故郷は
どんなに遠く旅しても

小魚達の…
小魚達が…
小魚達に…

還る場所。




自由詩 故郷。 Copyright 遊佐 2008-06-19 22:56:31
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