愛に
ましろ

愛なんて知らなかった
思い描いては囚われていた

親を愛していると
彼を愛していると
彼女を愛しているのにと
言い聞かせていた

それなりの愛


桜の季節に
かれは訪れて
わたしに春を愛させた

よく働きよく遊び
たくさん食べてたくさん眠った

車でしか通らない道を
ゆっくりと歩いた
若葉と空を仰いで

瑞々しい5月
かれを想って泣いた
かれだけを想って

空は高く
葉は生い茂る
稲は背丈を増し
陽はきらめいて

6月
雨の匂い
愛がしっとりと漂っている


自由詩 愛に Copyright ましろ 2008-06-19 02:01:11
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